デジタル技術の活用・取り組み

経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性

弊社は、一般にPCが普及し始めた1990年初頭頃からデジタル技術に係る分野に従事し、30年以上の間、デジタル技術の大きな進歩のうねりの中、常に社会における影響や人々のかかわりを考え続けていますが、いまだデジタル技術についてのハードルが高い世代も多く、社会の隅々まで恩恵がいきわたっているとは言いづらい状況であると認識しています。

しかし、デジタル技術が生活の中で欠かせないものであるという点は代えがたい事実であり、どの世代、どの立場の人にも平等に行きわたるべきものであり、より多くの人が抵抗なくあたりまえにデジタル技術に接することが出来る社会を実現するべきであると考えます。

弊社は、このような考えを基に、デジタル技術の進歩と人々を自然に結びつける存在になるよう活動を進めています。

デジタル技術が社会に及ぼす影響

弊社が約15年にわたり、ある地方自治体の関連施設のデジタル化推進にあたり、現在も継続して歩んでいる状況を例とする。

 

まずこのケースでは3つの立場が存在した。

(1) デジタル化を推進しサービスを提供する立場:A

(2) サービスを受け、活用、享受する住民の立場:B

(3)デジタルサービス開発者としての立場:C

 

プロジェクトを始めるにあたり、一見、当事者達は皆、同じ目標に向かって団結して進むと思われがちだが、その過程においては全く相反する動きとなった。

一番の課題は、サービスを受けるBの個人がもつリテラシの大きな格差である。

Aは「住民へのサービス向上」「働き方改革」などと考え、様々な機能を盛り込もうとするが、Bにとっては「難しいはず」「逆に手間がかかるのでは?」と、ドンドン受け入れがたいものになる。

更にCは「予算」「手間」「完成度」などの狭間に立ち、予算が潤沢ではないクライアントを考慮しながらの、コストとの戦いを強いられることになった。

 

明確な最終イメージが出来ていない、お互いの考えがずれているのに気づかない中でのスタートは最悪目標が達成されないまま終わってしまうことを意味し、計画がとん挫する可能性も見えていたが、それぞれの立場で改めて施設デジタル化の意味と今後の姿を考え、その有効性や仕様初期の少しの努力が後の大きな利便性につながるということへの理解を得ることがに尽力した。

現在は、住民、施設従事者ともに、デジタル技術の恩恵を十分に受けられる状況に至る。

 

苦手意識のあった人もシステム等を使いこなし、更なる利便性や配慮を向上させるため、新たにデジタル化できる部分はないかという視点での検討がされるなど、デジタル技術を生活に取り入れるための好例となっていると感じる。

 

自社の競争環境に及ぼす影響

このサービスを他の地方自治体の担当者が見ることで、自分たちの自治体でも同様のサービスを住民に提供できないかといった問い合わせが次々とあった。同じような悩みを抱えるところが多いということを実感し、弊社のデジタル技術を最大限生かしつつ、使う人の立場や、最終的目標を考慮した姿勢が評価されたものと感じる。また、15年の地道な実績と経験を得ていることでの信頼が、契約に結び付く事例も出ている。

経営ビジョン・ビジネスモデル

デジタル化のビジネスモデル

デジタル化を推進するにあたり、まず、サービスを確立時に評価モデルとする弊社独自の「ペンタゴンデザインモデル」を提示する。

デザインとは一般に言われる意匠や図案製作のための作業などを言うのではなく、全体を整った(だれもが適切な恩恵を受けることができる)形に仕上げるための視点というような意味合いで理解していただきたい。

 

◇5つのデザイン

 ・時間デザイン:時間をどのくらい短くできるか

 ・移動デザイン:移動の観点からどのくらい便利になるか

 ・コストデザイン:コスト面でどのくらい削減されるのか

 ・マーケット(認識度)デザイン:マーケットに及ぼす影響度はどれほどか

 ・利用満足度デザイン:利用者の満足度はどの程度か

 

 

但しこのペンタゴンモデルも万能では無く、実際のデジタル化作業以前にこの5項目を先の項目で説明した当事者A,B,Cで時間を掛けて検討し、場合によっては項目を削除、変更、追加する作業を経てイメージを再確認統一することが、後の作業を潤滑に進めるための大きなポイントとなる。

デジタル化のビジネスモデル実現のための戦略

デジタル化を推進しようとする際、必ず最終目標があり、上述したA、B、Cがどう関わりながら進めていくかということになる。ここで最大のポイントは、「人」。

一見、デジタル化とは一番対極に居ると思われがちだが、デジタル技術を用意する、使う、受け取るすべては人、つまりは当事者のすべてが大きくかかわりを持ちプロジェクトが進行する。但しこの「人」は、立場によりその意見は全く異なり、主張する論点も異なる。たとえミーティングを重ねても、ある単語の意味は一つであるはずが、聞く側の主観で様々な意味に変化する。

同時にデジタル用語という聞きなれない言葉も加わると、ある人にとっては、煙に巻かれたような感覚が不信感に繋がり、逆に理解が進んでいると勝手に誤解するなど、ますます話全体のイメージが人により異なることが増え、最終的に意見を一致させたと思ってはいても実は全く違う方向を向いてることが多くある。

 

この課題を解決するのが、弊社が長年の経験から考え出した、先に述べたペンタゴンモデルである。このペンタゴンモデルを基に、それぞれの立場の違う「人」が考え方を可視化、数値化しながら調整することで、イメージを統一し、合意する。

もちろんペンタゴンモデルだけでは意見を統一することはできないが、言語化しにくい感情や感覚の部分をフォローすることでより、それぞれの人の立場や考えを尊重しつつどこかに偏り、一部にしか利益をもたらさないような間違ったシステム化を防ぐものになる。

 

このペンタゴンモデルの実際はでは、上のような五角形を紙面で示しながらミーティング時に使用するが、弊社の特徴であるデジタル化についてはいまだ実現できていない現状がある。

これをシステム化することで、例えば

  • 入力内容を細分化して設定することで、それぞれの項目の数値が総合的に判断される
  • 各方面のペンタゴンモデルを比較、判断し、不満の偏りや全体的に不評な点をあぶりだす
  • 目標点を設置し、達成のためのヒントを提案する

等、様々に広げられる可能性を感じている。

また、自社での開発の為の使用だけではなく、一般にも普及させることで、専門性の強い分野とに携わる者と一般の人々がプロジェクトを進める際の双方を繋ぐ手助けに、感覚や希望を間違いなく伝える新しいツールとして広めることが出来るのではないかと考える。

こと、デジタル分野においては、膨大な開発費をかけても、最終的に役に立たないシステムが出来てしまうなというような不幸が見受けられ、業界的に改善ができないかという思いを持つこともある。このシステムを開発することで、大変微力ではあるが、悪しき慣例を減らす少しの手助けになるのが理想である。

 

 

体制・組織の配置