「スクールナビ LET’S」の活用実例

教材概要 | 発音とつづりのルールを覚えて、初めての単語でも発音できるようにする『フォニックス』学習法を採用。発音練習機能つき。 |
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実践者 | 埼玉県春日部市沼端小学校 恩田 和彦先生 (実践当時) |
教科 | 小学校英語 |
使用機器 | PC21台 |
ソフトウェアの特徴と利用上のメリット
児童の興味関心を持続させるストーリー性
学習者と同世代の主人公が妹とともにアメリカへ行くというストーリーにそって、様々な具体的な場面が設定がされているため、学習者の興味関心が持続され、主体的な学習が期待できる。
「音声」としての英語
画面上には英語表記がされるが、「耳から学ぶ」ことが大切にされている。
必要に応じた繰り返し
「英語で聞く」、「日本語で聞く」、「1ページずつみる」など、学習者の求めに応じた繰り返しが選択できる。
対応する学習指導要領の内容
小学校総合学習/国際理解教育(学校裁量の時間)
・国際理解教育の一環として、簡単な英語に慣れ親しみながら、外国の風土・文化などへの関心を高める。
・簡単な英語に慣れ親しむことを通して、「言葉」に対する関心を高めるとともに、積極的にコミニュケーションを図ろうとする態度を養う。
学習指導略案
題材指導計画(全体時間2時間 学校裁量の時間-沼小タイム-)
(1) 簡単な英語にふれることで、英語や外国に対する関心を高める。
(2) 簡単な英語を使っての役割練習をすることで、コミニュケーション能力を高める。
(3) AETとの交流を通し、我が国とは異なった習慣や文化があることを知る。
(4) 学んだ英語を使いながらAETとの活動に積極的に参加しようとする態度を育てる。
本時の目標と展開(本時はその1時間目)
(1) 英語でのあいさつのしかたについて知る。
(2) 役割練習のなかで、英語で簡単なあいさつができる。
(3) 積極的に英語を話そうとする。
学習活動 | 機器、教材・教具 | 指導上の留意点 |
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(1)活動のねらい把握する。 | AETの先生の似顔絵と名前 | 翌月にAETの先生との活動が予定されていることを知らせ、本時の活動の目的の焦点化と意欲づけを図る。 |
(2)Eタイムのビデオの内容を振り返る。 | Eタイムのビデオテープ VTR 大型モニター |
・4月のスキット(Good morning. Good afternoon.)と5月のスキット(Nice to meet you. My name is ○○○.)を思い起こさせるとともに、役割練習をさせる。 |
(3)「空港」、「新しい家」の2つの場面から、ビデオで学んだ以外の英語でのあいさつのしかたなどについて知る。 | コンピュータ 21台 ヘッドセット |
・ソフトの使い方を知らせる。 ・ひとりひとりのペースで学習が進められるようヘッドフォンを活用する。 ・必要があれば何度も繰り返してみることができることを知らせる。 ・コンピュータの音声に合わせて発声してみ るとよいことを押さえる。 ・あいさつのしかたがわかった児童は、「もっと知りたい」場面で語彙を増やすよう机間指導する。 |
(4)新しくでてきたもので、AETの先生との勉強で使えそうな表現を発表し合う。 | ・Hi. やHello. ・How are you? Fine thank you. And you? ・Thank you. You’re welcome. Excuse me. That’s OK. ・Good bye. See you. また、AETへの質問としてWhat’s your name?やHow old are you? も使えそうなことに気づかせる。 |
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(5)二人組になって役割 練習をする。 | ・Eタイムのビデオやコンピュータで学んだ表現を使って、役割練習をさせる。 | |
(6)本時のまとめ | ・本時で学んだ表現を振り返りながら、次時のAETとの活動の時間への意欲づけを図る。 |
授業実践例
コンピュータ活用の意図
新学習指導要領では、「総合的な学習の時間の取扱い」で、国際理解教育の一環としての外国語会話について例示的に触れられている。しかし、現行の学習指導要領においては、小学校における英語の学習の設定はない(2000年現在)。こうした状況の中で、本校では英語による簡単なあいさつや質問などができれば、AETとの交流もより深められると考え、業前の時間や学校裁量の時間に、コンピュータや市教育委員会作成のビデオ「春日部Eタイム」を使って、英語による簡単な会話練習の時間を設けてみた。コンピュータの活用は、「春日部Eタイム」で学習した簡単なあいさつ(Good morning. Good afternoon.)や自己紹介(Nice to meet you. My name is ○○.)のほかにも表現方法があることに具体的な場面をとおして気づかせたいと考え設定した。また、英語教育が専門ではない小学校教師が担当するので、正確な発音を児童に示すことは容易ではない。そうしたことを補う点からも、コンピュータの活用は有効であると考える。
指導のポイント
本校では学期2回程度、AET訪問を実施し、AETの出身地の紹介を通して、外国の習慣や文化、自然などについて学ぶとともに、簡単な英語の歌やゲームなどをしながら交流を深めている。
本年度最初のAET訪問を翌月にひかえ、より交流を深めるために、英語での簡単なあいさつや質問のしかたについて知ることをねらいとして本時を設定した。
(1)他の教材との関連
市教育委員会作成の小学校英語教材ビデオ「春日部Eタイム」は、1スキット5分程度のものが10スキットほどまとめられているものであり、本校では第1、第3週土曜日の業前の時間に視聴している。4月、5月のスキットは、毎日のあいさつと初めて会った人とのあいさつが中心となっている。 これらの表現を学んでいる児童に対し、本時ではコンピュータソフトを使って、別の表現のしかたについて学ぶとともに、”Hi.”や”Hello.” のようによく使う表現については、繰り返し聞くことで、その音をしっかりと体得させたい。
(2)ヘッドフォンの利用
本時で使用するソフトは、英語を音声で提示するソフトである。また、子どもたち自らにとっても「英語を声にだす」という活動が大切である。
そこで、本時では、ひとり1台のコンピュータをヘッドフォンをしながら利用した。ヘッドフォンをすることで、他のコンピュータの音やほかの児童が練習する声を気にせず、自分のペースで学習を進めることができた。
(3)役割練習
知識としての英語ではなく、コミニュケーションの方法としての英語ということから、役割練習の時間を十分確保することにした。
コンピュータソフトの利用によって、正しい発音を繰り返し聞き、それに合わせて自らが発音をするという活動を確保することができた。役割練習の場面では、コンピュータの利用によって身に付けることができた英語を、お互いに表現し合うことで、表現する喜び、英語を話す楽しさにつなげたい。
児童の反応
本校の児童は、日頃の学習活動のなかで、コンピュータを表現ツール、あるいはプレゼンテーション・ツールとして日常的に活用している。また、本時で使用したソフトは、マウス操作だけで学習が進められるよう配慮されている。そのため、子どもたちは、特段の抵抗感もなく学習に取り組むことができた。
繰り返しスキットを見る児童、日本語訳の場面を見る児童、1場面1フレーズごとに再生する児童など、それぞれのペース、関心に合わせて学習を進めていた。
本時では、初めて会うAETとの活動を控え、あいさつのしかたや質問のしかたについて知ることをねらいとしたため、学習する場面をあえて2つにしぼった。しかし、本時で使用したソフトは、ストーリー性があるため、さらに先の場面を学習したいという意欲も強く、昼休みや放課後に学習を続ける児童もみられた。また、アメリカの年中行事を熱心に調べる児童もいて、学習に広がりをもたせることができた。